〜植物工場における栽培技術の開発〜
新産業である植物工場の推進や発展に向けて


 地球レベルの急激な人口増加と環境の変化は、深刻な食糧不足を招きつつあり、いかに作物の収量を増加させるかは、植物科学研究の社会貢献において最も重要な課題です。
 近未来において、穀物・作物を安定的に供給できるように研究を行いたいと考えています。その第一段階として、可能な限り環境負荷を低減し、高い生産性を安定して発揮する植物工場のモデル化を目指したいと考えて研究を行っています。


1) 植物工場とは?
2) 上方照射法を用いた葉の老化を抑制する新たな栽培技術を提案
3) 季節ごとに栽培環境を最適化する細霧噴霧システムを提案

4) LED夜間照射を用いたトマトの成長と収量を増加させる新たな栽培技術を提案


1)植物工場とは

 光や温湿度、CO2濃度、水分や肥料など、生育に必要な要素を自動制御して、播種から栽培、収穫、出荷までを計画的に行うことで、出荷のサイクルを短くし、高品質のまま収穫量を増大できる未来型の農業

<メリット>

  ・環境制御された施設内で栽培するため、
                天候に左右されずに安定供給が可能。

  ・農薬を使う必要がない。菌の数が少なく、賞味期限が長い。

  ・洗わずに食べることができる。

  ・生育環境の調整により、栄養価を高めた高付加価値野菜の生産が可能。



2)上方照射法を用いた葉の老化を抑制する新たな栽培技術を提案

<課題>

 植物工場では高密度に植物を栽培するため、葉が複雑に幾重にも重なる結果、外側の葉まで光が届かず、老化が進行してしまいます。これまでも出荷前に、老化葉を取り除く作業に膨大な時間と労力がかかっていました。植物工場において、作物の高効率生産・高付加価値を実現する栽培法を確立することが喫緊の課題となっています。


<研究成果>

 現在の植物工場において、広く栽培されているリーフレタスを材料に用いて研究した結果、下方照射(植物体への上から下に向けてのLED照射)のみならず上方照射(植物体への下から上に向けてのLED照射)を加えることによって、外側の葉の老化を抑制することが明らかになりました。また、下方照射と上方照射を組み合わせた新規栽培法では、外葉の老化を抑制するのみならず、光合成を促進させ、外葉の成長をうながすことも明らかになりました。

 LED上方照射を行うことによって、収穫量の増大のみならず、老化葉を削減することができ、生産過程で生じるゴミ排出量の大幅な削減や老化葉を取り除くための膨大な作業量の軽減にも貢献できると考えられます。

 本研究成果によって、植物工場における葉菜類の栽培において、「上方照射の有効性」について世界に先駆けて初めて証明することができました。

 
*上記論文をFrontiers in Plant Science誌に発表 (Zhang et al. 2015)
*千葉大学からプレスリリースを発表しました



3)季節ごとに栽培環境を最適化する細霧噴霧システムを提案
 細霧噴霧システムは、夏季の施設内冷房、冬季の加湿用途に好適であることを示しました。
  
*上記論文をScientia Horticulturae誌に発表 (Lu et al. 2015)



4)LED夜間照射を用いたトマトの成長と収量を増加させる新たな栽培技術を提案
<課題>
 太陽光利用型植物工場では、株の植栽密度が高いため下位葉に太陽光が届きにくくなります。限られたスペースで、作物を高密度に植栽し、より効率良く収量を確保できる高生産性の新たな栽培方法の確立が望まれています。

<研究成果>
 日光が到達しない下の方の葉を集中的に側面からLED補光(インターライティング:樹間照明)することで、トマトの収量および果実品質が向上することが分かりました。特に、昼間よりも夜間にLED補光することによって、トマト収量の増加のみならず、夜間電力を利用できるので、LED消費電力のランニングコストの削減を可能とすることが明らかになりました。今後、これらの栽培手法が生産者に浸透し活用されることが期待されます。
 
*上記論文をFrontiers in Plant Science誌に発表 (Tewolde et al. 2016)




5)薬用植物を用いたプロジェクトも進めています




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